日本ブリーフサイコセラピー学会 第22回神戸大会 2012 8/24〜26

8月24日(金) 13:00〜15:30

●大会企画シンポジウム
ブリーフセラピーとCBT(認知行動療法)
[ シンポジスト ]

神村栄一(新潟大学)
大野裕史(兵庫教育大学大学院)
岡嶋美代(なごやメンタルクリニック)
菊池安希子(国立精神・神経医療研究センター)

指定討論者:森俊夫(東京大学大学院)
座長:津川秀夫(吉備国際大学)


[ 企画趣旨 ]

2010年の保険点数化に伴い認知行動療法(CBT)に注目が集まっています。CBTは具体的な行動変容を志向し、いたずらに「解釈」を振り回すことがありません。そのため、ブリーフセラピーになじんだ臨床家の多くはCBTに好感をいだくようです。その一方で、「かたくて融通が利かない」「手続きが面倒」「セラピストの枠組みの押しつけ」などの印象をもっている方もいるかもしれません。

聞くところによると、CBTも一枚岩ではなく、マニュアル一辺倒から柔軟なやりとりを大切にするところまでずいぶん開きがあるそうです。さらには、第3世代と称されるマインドフルネスやACTになると、私たちのいだくCBTのイメージとずいぶん異なってくるようです。

今回のシンポジウムでは、CBTとともにブリーフセラピーに造詣の深い先生方に話題提供をお願いしました。ブリーフセラピーとCBTそれぞれの現状や課題を押さえつつ、共通点や差異について、また、両アプローチの今後について、メタの視点から捉えることを目指します。もちろん、知的な面だけでなく事例でのやりとりや個人的エピソードも満載です。どうぞご期待ください。

8月25日(土) 9:00〜10:50

●学会企画シンポジウム
災害被災者支援の方向性―2つの大震災での経験から―
[ シンポジスト ]

阪神淡路大震災:
市井雅哉(兵庫教育大学)
岡嵜順子(予防医学心理学(楽)研究室)
野田哲朗(大阪府立精神医療センター)

東日本大震災:
佐々木誠(岩手大学)
法澤直子(岩手県教育委員会 巡回型カウンセラー)

指定討論者:中島央(医療法人横田会 向陽台病院)
座長:加来洋一(山口県立こころの医療センター)


[ 企画趣旨 ]

平成7年に、6400人以上の死者、行方不明者をだした阪神淡路大震災がおこってから17年がたちました。その後、平成16年の新潟県中越大震災など死者がでた地震は10をこえ、昨年の東日本大震災では死者、行方不明者は約1万9000人といわれています。阪神淡路大震災以降、被災者に対する心理的支援の重要性が特に注目されるようになり、そのための方法論や技法も(残念なことに)実践の場をへて、有効性もましてきています。一方で、震災など災害の現場では心理的支援の技術以外のものが現場にはいった支援者に求められているのも事実です。現地のスタッフと協働できる関係をつくり、時間をおって変わる現場のニーズに柔軟に対応していくためには、ブリーフサイコセラピーの発想と技術が必要なのではないでしょうか。このたび、被災地である神戸で本学会の大会が開催されるのを機に、阪神淡路大震災と東日本大震災で心理的支援に携わった(あるいは現在も関わっている)方々にシンポジストになっていただき、被災地での心理的支援においてブリーフサイコセラピーの果たす役割について、参加者のみなさんと議論できる企画をたててみました。「被災地の現場での支援は、日常の臨床の延長で特別なことではない」という声は、実際に現地で活動した方々からよく聞かれます。この企画が被災地での「日常」を介して、参加者のみなさんの「日常」の臨床を振り返る場にもなることを期待しています。

●理事会有志企画シンポジウム
高橋規子先生 メモリアル・シンポジウム
臨床を学ぶということ 〜 教えると教わるのあいだで
[ シンポジスト ]

安江高子(関内カウンセリングオフィス)
中野真也(こころのクリニック)
尾形広行(獨協医科大学越谷病院)

[ 企画 ]
市橋香代(東京大学医学部附属病院)
菊池安希子(国立精神・神経センター)
八巻秀(駒澤大学・やまき心理臨床オフィス)

[ 進行 ]
市橋香代・八巻秀


[ 企画趣旨 ]

 昨年11月13日に本学会の理事などを務められた高橋規子先生が48歳の若さで亡くなられました。多くの方は驚きと悲しみを覚えたことと思います。
 そこで、今大会の一枠をお借りして、高橋先生を偲ぶ機会として、ミニシンポジウムを企画させていただきました。

 心理臨床活動とともに、臨床教育にも力を注がれた先生だったこと、そしてナラティヴの思想を大切にされた先生であったことも考慮して、高橋先生に直接師事した心理臨床家を中心に、リフレクテフィング・プロセスを取り入れた、ミニシンポジウムを行う予定です。

 高橋先生から学べたこと・学んだことに思いを馳せながら、高橋臨床をじっくりと味わい、参加された方々にとって、教えること・教わることの意味についてかみしめる(振り返る)ひととき(時間)になれば、と思っております。
お時間が許す方はどうぞご参加下さい。

8月25日(土) 13:40〜16:10

●大会企画シンポジウム
ブリーフ的現場の構築
[ シンポジスト ]

皮膚科診療の現場から:清水良輔/清水貴子(皮ふ科しみずクリニック)
児童相談所の現場から:衣斐哲臣(和歌山県子ども・女性・障害者相談センター)
大学受験の現場から :喜多徹人(学校法人 神戸セミナー)
企業経営の現場から :井上高志(株式会社ネクスト社長)

指定討論者:坂本真佐哉(神戸松蔭女子学院大学)
座長:田中究(関内カウンセリングオフィス)


[ 企画趣旨 ]

本シンポジウムは、精神科でない皮膚科診療、児童相談所、不登校生に対応する予備校、IT企業経営というさまざまな現場での実践を発表していただき、ブリーフサイコセラピー的な発想や考え方を見出そうという企画です。

ブリーフサイコセラピーの考え方は心理の面談室のみならずさまざまな現場で応用されています。そして「ブリーフ的」と名前を付けたところで様々な定義や解釈があるとおもいます。既存の枠組みに捉われない、マイナスではなくプラスの部分に注目する、効率性を重視する、まず試しにやってみる、などいろんな「ブリーフ的」な立場があるかもしれません。

細かい打ち合わせなく、シンポジストがバトルロイヤル的にそれぞれの立場や考え方を出し合うため、いったいどんなことになるのかよくわかりませんが指定討論者がエッセンスを取り出してくれることを期待しましょう!

日本ブリーフサイコセラピー学会